・はじめに
筆者がポケモンにおいて1番好きな時間は、型の調整を考える際に努力値配分をチマチマと1ずつずらす時である。Bを3削ってSに回すと……などと考えている時が堪らなく好きなのだ。所謂数字オタクである。
当記事では、微調整をするときの考え方や筋道などを、根拠を明確にしつつ紹介したい。既に知っている方も、根拠を明らかにしておくことの価値は大きいと思う。
また、自力で新しい型を作ったことがなく、自力で一度作ってみたい方は是非当記事を読んで微調整の沼に沈んで頂きたい。
注:数学的厳密性を気にする人へ
例えば16n+15と16n-1は同じものとして見て頂きたい。ここを指摘すると、ポケモン界隈に浸透したnを用いた表記自体が数学的には間違いだと根本から正す必要が出てきてしまい、完全に記事の内容から話が逸れるので、本記事では便宜上のnを用いた表記を用いる。
HP調整
16n+1調整について
16n+1調整は、たべのこしやくろいヘドロを持つポケモンに施されるのが一般的である。回復量が最大HPの1/16なので、この調整を施す事で回復効率が良くなるといえる。
この「回復効率」というのには大きく分けて2つあり、1つは最大HPに対する比率で、もう1つはみがわりとの相性である。
まず下の図1を見て頂きたい。
※図1
図1は、残飯回復4回でみがわりで削れたHPを補えるか、を表で確認したものである。
最大HPに対する比率に関してだが、まず表の残飯回復量のところを見て頂きたい。
HPを1ずつ増やしていくと、16nを超えたところで残飯回復量が増えるのがわかるだろう。つまり、簡単に言うと16nを超えた方がちょっと得、という事である。無論16nが一番効率が良いのだが、後に述べる理由から、偶数を避けるメリットが述べられる。
次にみがわりとの相性の話だが、16n+1である177や193は、みがわりのHP量が丁度残飯の回復量の4倍となっているのが分かるだろう。ここがポイントだ。
例えば16n+15である実数値191で残飯とみがわりにまもるなどを併用し、4ターン粘ったとすると、HPが3減った状態になるだろう。これを数回繰り返していると、塵も積もればなんとやら、なんか勿体ない状態になってしまうのである。
数値ばっかりだと理解しづらいかと思うので、具体例を挙げたいと思う。
みがまも残飯で長いターンを消費するポケモンといえば…そう、オニゴーリだ。
オニゴーリは無振りでHP実数値155、252振りでHP実数値187であるが、この155~187の間で16n+1となる値は161と177の二つである。できるだけHPに多めに振りたいので、実数値は161ではなく177を選ぶ。
図1から分かる通り、HPが177のとき、残飯回復量は11、みがわりのHPは44である。
ここでもし、HPに252振り、実数値が187だったとするとどうなるだろうか。
みがまもループでムラっけターンを稼ごうとしても、徐々に無駄が生じてくるのだ。実践してみて実感するのも良いが、机上で考察を進めるため計算して導いてみよう。
下の図2を参考にしていただきたい。
※図2
矢印は残飯回復の流れである。図から分かるように、10ターンまもみがを行った時点で残HPは同値となり、16n+1調整を施した場合とHPにぶっぱした場合では、最終的に2ターンまもみが可能なターンに差が付いた。この2度のムラっけ試行回数を稼ぐため、一般的にオニゴーリはHPに全振りをしないことが推奨されている。
16n+1調整についてのまとめ
残飯や黒いヘドロを持たせる場合、16n+1調整が最も回復に無駄がない。
みがまも等と併用するとメリットが顕著に現れる。
16n-1調整について
一転して、今度は16n-1調整の意図を整理しよう。
まず、16n+1の項で述べたように16n-1は残飯の回復効率が一番悪い調整なので、この調整は残飯を持たないポケモンに施すものである。
残飯の回復量のように、最大HPの1/16を~といったものは、ダメージソースにも存在する。砂ダメや霰ダメ、どくどく状態の1ターン目のダメージだ。
また、16の倍数は必ず8の倍数でもあり4の倍数でもあるので、最大HPの1/8を~といったスリップダメージ(鮫肌、てつのトゲ、等倍ステロ等)や最大HPの1/4を~といったものの効率も最低とできる。
これに関してはデメリットなので効率を最低にする必要がある故に、先程とは真逆の調整を施すのである。1/16のものや1/8のものを兼ねて対策できていることから纏めて、「スリップダメージに少し強くなる調整」といえるだろう。
ちなみに「じゃあ残飯を持つ場合はスリップダメージは妥協しているのか」という疑問を持つ方がいるかもしれないが、残飯の回復頻度は毎ターン1回。スリップダメージを毎ターン受けたとしてもメリットとデメリットはプラマイ0。そうでない場合であればスリップダメージを受ける頻度より残飯の発動頻度は高いので何も問題はない。デメリット以上のメリットをキープしている。
ただ、16n-1となる数は16おきにしか存在しないため、種族値によっては16n-1にしようとすると大幅にHPを削る必要が出てくるので、単純に耐久値が低くなるデメリットが現れる事もある。調整の過程で上手く16n付近だった場合にちょっと削ったら16n-1になるな~程度の思考でいいだろう。
有名どころだと、「H特化ポリ2の実数値が192となるので、16nになる。1削って191にすることで16n-1となり、耐久値もほぼ不変」などが挙げられる。
他にも例えば、筆者が実際に育成したゲンガーは目的の調整を施そうとするとどうしてもHPが16n-1まで達することが出来ず、結果実数値157、n表記だと16n-3となった。しかし、砂ダメ効率最低でこそないものの、「砂ダメ効率低め」であることは間違いない。耐久調整やSなどの重要なラインを妥協してまで16n-1に漕ぎ着ける必要性はないといえるだろう。
16n-1調整についてのまとめ
残飯を持たない場合、スリップダメージを受けることを考えるとちょっとお得!
ただ、残飯を持つ場合は逆に避けたい値であり、16n+1を狙おう。
8n+1調整(16n+9調整)について
8n+1調整は回復ソースが1/8ずつ…、思いつく限りではポイズンヒールしか挙がらないが、そういったポケモンに施す調整である。16n+1とほぼ同じ調整であるのだが、一応こんな調整もあるということを紹介したい。
8n+1、つまり8で割って1余る数値であるが、これは先ほど述べた16n+1を内包していることを下の図3で確認しよう。
※図3
8n+1調整をしたら16n+1にもなってた、というシチュエーションはよくあるもので、もう16n+1調整でいいじゃないか。という方も多い。
だが、あえて「16n+1ではないが8n+1である」という状態を求めるメリットがある。こういった数は16で割ると必ず9余るので、「16n+9調整」と呼ぶ方が適切だろうか。
この調整のメリットを実感するため、今度はポイズンヒール型のキノガッサを例に挙げる。
キノガッサのHPは無振り~252振りで実数値135~167の範囲を得られる。なるべくHPに多く振ることを前提としたときの、16n+1と16n+9の値はそれぞれ161と153である。それぞれの一回のポイヒ回復量と、砂ダメを表にした。下の図4を見て頂きたい。
※図4
図4を見ると、HPが153の場合、砂ダメを2回を被弾しポイヒで回復すると1多く回復することが出来るのに対して、HPが161の場合1多く回復する事が出来なかった。
こんな僅かな差だが、ポイヒガッサの戦法はオニゴーリのような有限回のみがまもと違ってPPが切れるまで無限ループが出来るので、1の得はいずれ山となるだろう。ループに入るとチマチマ増える…判定勝ちを狙う時に意外と大きな勝ち筋になるかもしれない。
砂ダメを受けつつポイヒで回復するシチュエーションが少ないので、気休め程度だと考えHP161のキノガッサを使う人も多いが、戦略的な事を言うと、カバやバンギやノオー入りの構築にはポイヒガッサが刺さる傾向があるとは言っておこう。無論、耐久調整の関係などで161の方が良いのにもかかわらず153に固執する程の価値があるとは考え難い。
8n+1調整(16n+9調整)についてのまとめ
微細ながらもポイヒループの中でメリットが得られる。
塵も積もれば山となるので、軽視すると勿体ないかも?
偶数を避ける理由
先ほど少し述べた、ここまで頑なに16nや8nを避けてきた理由だが、何故かと言うとみがわりを張れる回数が減るから4の倍数を避けていたわけだ。だが、まず偶数である時点でのデメリットがわずかにある。
・いかりのまえばを被弾時にオボンの有無がバレる
・抜群ダメージを耐える確率の問題
前者はいかりのまえば被弾時にギリギリオボン発動圏外でHPバーが緑のままとなり、相手側から見てオボン発動圏外と分かるのでオボンの有無がバレないのだ。もし偶数だった場合はHPバーが黄色となるのが相手にも見えるので、オボンが発動するかどうかで情報アドバンテージを取られるのだ。
逆に言えば、オボンを持っているポケモンはあえてHPを偶数にする価値はあるだろう。オボン持ちのはらだいこマリルリなどは偶数調整必須なポケモンのひとつである。
後者は、ダメージ計算の仕様上抜群技のダメージは必ず偶数となる(抜群補正の×2は最後に行われるから)ので、抜群技を耐える確率は偶数の場合でもそれより1低い場合でも実は変わらない。その1をBやDに回した方が耐える確率が変動しうるのでお得、といった理屈だ。
上記のオボン持ちのメリットに比べて小さいデメリットなのでオボンを持つ場合は偶数調整を優先するべきだろう。
16n+1調整などの話から総合すると、オボンなど敢えて偶数にする場合は16n±2が理想だろう。
また、有名な話なので割愛したが、ステロ4倍勢は奇数調整必須である。2度目の繰り出しが可能かどうかが変わるので、偶数だとデメリットが大きすぎるのだ。
その他のHPの調整について
1/4,1/8,1/16のスリップが多いが、中には下記のような、少しレアなスリップダメージがあるので挙げておく。
10n-1・・・珠ダメージの効率最低
6n-1・・・ゴツメダメージの効率最低
etc…
16n-1などの項でも書いたが、どれも「無理なく調整できるならする」、程度として心掛けたい。微細なメリットのために大幅にHPを削るのは逆効果である。
努力値を振るステータスの個数
続いてABCDSの振り方について話そう・・・という前に、複数箇所に振るうえで考えておきたいことがある。それは、偶数箇所振りは無駄がある
ということである。例えばHADSの4箇所に振るのであれば必然的にBにも最低4振りしないと無駄があるのだ。
ではなぜなのかをはっきりさせよう。
まず、Lv50においての無補正無振りのときのステータスは、
HP・・・(種族値)+75
その他のステータス・・・(種族値)+20
である。種族値を知っていれば暗算でも余裕で算出できるだろう。
ここを最低値として、努力値でさらに数値を大きくするのが努力値振りである。
最大で32増やすことが可能であるので、無補正全振りの場合のステータスは
HP・・・(種族値)+75+32
その他のステータス・・・(種族値)+20+32
となる。赤字部分を0~32の範囲で弄るのが調整の本質だ。
そして、この0~32はどう努力値を振ればいいのか、というと、最初の1だけは努力値4で済むが、2以上上げたい場合は1あげるのに8必要となるのだ。
文章からは分かりづらいので表にしてみた。図5を参照
※図5 余談だがエクセルの関数機能って凄いと感じた(機械音痴)
最初は必要努力値は4なのに、次は12と8増えている。その後はずっと8ずつ増えているので、必要努力値は必ず8n+4となっている。
元々努力値はすべてのステータスで合計510まで振ることができ、実質意味があるのは508までであり、2はいかなる振り方でも余る。
ここで、508を8で割ってみると4余るので508はn表記では8n+4となる。
8n+4となる数は偶数個足すと8の倍数となるので、上記の状況を踏まえて偶数箇所に8n+4を分配することを考えると必ず4余ることがわかる。
よって、偶数箇所に振るのは無駄があるといえる。1つのステータスの上限が252であるので、少なくとも3カ所には努力値を振る。故に努力値を配分する際には3カ所もしくは5カ所が基本となる。
さらに言うと3カ所振りすら無駄があるとも考えられる。
三カ所に振っているとき、一カ所から努力値を8拝借して無振り箇所に4ずつ振るとどうなるだろうか。
拝借した部分はステータスは1減っただけだが、4ずつ2カ所に分配したので合わせてステータスは1得した事になる。
だが、この1の得を求めて調整を崩すほどではないので、5カ所振りでないといけない…というほどではない。例えばAS252の襷ポケのAを削ってBDにわざわざ分ける行為などは流石にお門違いだ。
めざパ個体や一部の型は例外!
ここまで振る箇所について議論したが、振る箇所はすべて個体値はV想定だった。ではめざパ個体で振る箇所がUの場合はというと、全く違ったものとなってくる。
結論から言うと、Uの箇所はまず1増やす時点で努力値が8必要となるのだ。個体値が1下がるたびに努力値は4多く振らないと同じステータスとならないとも言い換えられる。
つまり、先程の8n+4が適用されず8nで処理されるので、U箇所に振っても振った箇所としてカウントしなければよい。
例えば、H×bCDSのめざ氷個体の場合、Aには振らないものとするとHCDSのうち3カ所に振るか、Bにも振りつつHCDSのうち3カ所に振ると無駄がないのだ。
だが、HCDSすべてに振りたいめざ氷個体の場合はもうどうしようもないので4余らせるしかない。
※追記 7世代にて王冠の登場により、必要箇所Vのめざパ個体を用意できるようになったので、実質この議論は不要となった。
他にもトリル型最遅ヤドランやいばみがクレッフィなどは無駄が生じる。
ヤドランの場合はAとSに振る必要がなく、HBCD全てに振りたい場合があるのでやはり無駄がある。
クレッフィの場合、攻撃技がイカサマのみであればAとCは不要となる。
このように、どうしても無駄が生じてしまう場合は仕方がないと割り切るしかない。
振る箇所の数についてのまとめ
5カ所振りがちょっとお得であるが、無理をして3ヶ所振りを5ヶ所振りにする必要性は低い。
BD調整
BDの調整についてはダウンロード対策くらいだろう。
ダウンロード対策
特性:ダウンロードはこちらのBDのうち、低い方に対応してAかCを上げる特性である。この特性を持っているのはレート下だとポリゴン系のみであり、ポリゴン系は基本的に特殊技がメインである。最近物理技搭載も増えているらしいが、依然としてC上昇は脅威であるので、是非ともCの上昇は阻止したい。
物理受けが役割で、HB特化のようなポケモンでは無論ダウンロード対策は無理だろう。しかし、DがBより1でも高ければ良いので、BDの種族値が近いようなポケモンならば微量の努力値で対策が可能だともいえるので、「できればしておく」とお得だろう。
「5ヶ所振り」と「ダウンロード調整」と「奇数調整」を意識した振り方
例としては陽気ASガルーラが1番分かりやすいだろう。
AS252振りとすると、残りの4をどこに振るかという話になるが、
H4振り・・・H実数値が181となり、偶数調整となる。また、ガルーラにとっては相当重要な6n(ゴツメ6回で瀕死)を回避出来ている。
D4振り・・・ダウンロード対策となる。
では、「どちらを選ぶのが良いのか」……ではなく、「どちらも調整しよう」とする事を考えてみよう。つまり、H4D4振りを視野に入れるのだ。
AS252では不可能なので、最小限の量だけAを削る事にする。
まずH4振り、更にDに4振り、S252の残りA……と振ることを考える。が、これでは4ヶ所振りとなる。よって、Bにも4振る。
すると、BDに4振りなのでBDの実数値は等しくなり、またダウンロード対策が消えてしまった。
よってDをもう1大きくするためにDは12振りとする。
最終的な振り方は
4-236-4-0-12-252
となった。
結果的にAの実数値はぶっぱに対して2削れた事になるが、その分ダウンロード対策と奇数、ゴツメ意識のHP調整、5ヶ所振りを全て兼ねる事が出来た。
もちろん、Aを削ったデメリットは存在するが、その分いろいろなご利益が得られたので、メリットとデメリットを天秤にかけた結果こちらの方がお得だろう。
ただし、 筆者はガルーラの火力調整にあまり詳しくないのでこう述べたが、もしAを2削る事で仮想敵への確定数のズレが生じるならば一概にこの調整の方が良いとは言い難い。どちらを優先させるか、は使用者のパーティや使用者の性格と相談である。
(ちなみに筆者はHPが奇数じゃなかったり、あとちょっとでダウンロード対策が可能なのにしていなかったりする調整を見ると蕁麻疹が出る体質になってしまったという・・・)
BD調整についてのまとめ
DをBより高くすることでダウンロードを対策する。ダウンロード対策は無理のない範囲なら積極的にしたい調整である。
ダウンロード対策、5カ所振り、HP実数値調整を兼ねる時は火力や素早さを削ったりするが、そちらを尊重する方が良いのか火力調整を妥協する方が良いのかはパーティに合わせて天秤にかけたい。
S調整
ある少年は言った…「ポケモンというのは素早さが1違うだけで先手後手が決定してしまうゲームです。」
※素早さの重要性を説く少年の姿。彼はクロバットやサンダースに抜かれないよう敢えてレアコイルの採用を図ったという。当時しんかのきせきは存在しないというのに進化前を採用したことから少年の只ならぬ才能が伺える。
最速にする価値を再確認
「とりあえず最速」という調整を頻繁に見かける。実際先程例として最速ガルーラを挙げた。ただ、それに筆者は疑問を抱いた。本当に最速は重要なのか?
結論から述べると、最速にするポケモンの条件は、
1. そのポケモンより種族値が1だけ低い、対面有利なメジャーポケの存在
2. 同速対決に元々有利気味で、同速対面で居座れる型である
3. 最速でS操作技により仮想敵をギリギリ抜ける
4. 襷型など、他の部分に振る価値が薄い
の4つである。この4つのうちどれも満たさないポケモンを最速にする意味合いは薄いのだ。
1の例を挙げるとするとオンバーンである。
このポケモンのS種族値は123であり、1低い122にメジャーなゲッコウガが居る。オンバーンは流星群やとんぼがえりでゲッコウガに先制する価値があるといえるので、最速にする必要がある。
2の例はゲンガーが挙げられる。
シャドボ持ちゲンガーはゲンガー同士の対面で居座って同速勝ちすると無償で相手のゲンガーを突破できる。(50%で負ける対面で居座る理由については話題が逸れるのでここではしない。)
同速対決の土俵に立つことすらできなくなるので、ゲンガーは最速にする人が多いのだ。
逆に言えば、祟り目型など「同速対決で先制出来ても確殺できないゲンガー」を最速にする必要性は薄いのではないだろうか。筆者はメガ後にマニュ―ラ抜きまでSを削り、耐久を厚くした調整を愛用しているが困った事はあまりない。無論裏にはゲンガーに後出ししやすいポケモンを入れて引き先を用意する必要性がある事は意識していただきたい。
3はキノガッサが有名だ。
キノガッサ筆頭の最速70族は岩石封じにより130族を1だけ抜くことが可能である。同様にスカーフを持たせても130族を1抜ける事は有名だろう。
※参考
70族最速・・・実数値134
70族最速スカーフ・・・実数値201(134×1.5)
130族最速・・・実数値200
130族最速,S1段階下降・・・実数値133(200×(2/3)を端数切り捨て)
4は襷持ち全般に言えることで、両刀でもない限りASぶっぱかCSぶっぱの2択となるだろう。準速にするか最速にするか、はどこまで抜きたいかに依るだろう。
例として筆者お気に入りの襷ニドキングを挙げよう。
CS252H4振りで最速を選択した。
準速と最速のメリットはしっかり吟味したが
準速のメリットが
「だいちのちからの確定数がH振りライコウに対して確定2から乱2にズレる」、「だいちのちからの確定数がH振りバンギラスに対して乱数から確定2発へとズレる」など
これに対して最速のメリットが
「HDアローより速い」「準速サザンと同速になるので対面処理しやすくなる」「最速ヒードランを抜ける」等相当大きいのでSに補正をかけた。
襷ポケである場合も火力とSラインに相談して最速にするか準速にするかを考察する必要がある。
最速にする必要性についてのまとめ
最速がメジャーなポケモンも、最速にする必要があるか一度考えてみると最速にしなくていいかもしれない。最速にするメリットをしっかり考えてから型を考察したい。
調整総集編
では最後に、実際に調整する際の考え方を、手順に沿って解説する。
例になってくれるポケモンは、筆者が最近調整したHSベースのどくまもメガライボルドである。
技:どくどく まもる ボルトチェンジ オーバーヒート
性格:臆病
はじめに、仮の調整案を置く
今回はHSベースのライボルトなので、H252D4S252振りと仮決定する。
このとき実数値は
メガ前:177-x-80-125-81-172
メガ後:177-x-100-155-101-205
となる。
ここを軸として、HやSをいくつ削ってBCDにいくつ割り振る~といった算段だ。
仮調整でのデメリットを列挙する
・最速にするメリットが不明瞭
・16n+1と定数ダメ耐性が低い
・5カ所に振っていない
デメリットを解消するように弄る
最速であるメリットは、メガミミロップ対面で先制ボルチェンを狙う動きを想定するので十分にある。また、最速130抜き調整周辺を安定して抜けるのでS252は削らないものとする。
16n+1の回避策として、H実数値を2削る(努力値は16削る)事で16n-1と出来るので、耐久値に大差ないと考え、削ることにする。この削った分を:BCDに補填し、ダウンロード調整を兼ねると、
236-0-4-4-12-252とピッタリ割り振ることができた。
ちなみに実数値は
メガ前:175-x-81-126-82-172
メガ後:175-x-101-156-102-205
となる。
今回は偶然「ダウンロード対策」「5カ所振り」「16n-1」の3つを兼ねた調整が成立したが、そう上手くも行かない場合も多いので、その場合は取捨選択する必要がある。
このあたりの調整の両立が出来ない場合は、ダウンロード対策、16n-1、5カ所振り、の順で優先するべきだと考えている。
これでこのライボルトの調整は完了したわけだが、筆者はいつもここでもう一つすることがある。
それは
メジャーポケからの被ダメ計算
である。
いろいろ計算してみたところ、いじっぱりガブの威嚇込み地震が6.3%の乱1だった。
ここで、一つの選択肢が生じる。
努力値:236-0-20-0-0-252
メガ前:175-x-83-125-80-172
メガ後:175-x-103-155-100-205
とすると、この地震を確2にまで抑え込めるのだ。
しかし、この調整では5カ所振り、ダウンロード対策は放棄してしまっている。
さて、この場合どちらを優先すべきだろうか。
ダウンロード対策と5カ所振り or ガブの地震耐え
これに関して筆者は、前者が圧倒的に優先すべきだと考えた。
なぜならば・・・
・このライボルトは地震を耐えてもガブに有効打があまりないこと
・意地ガブということはスカーフと見てよい。スカガブとポリ2ならばポリ2と対面することの方が多いと考えられること
・「6.3%の乱数を引く」または「急所を引く」確率が実際にライボルトが倒される確率であり、それを調整によって「急所を引く」確率のみにまで減らすだけで結局100%耐えられるわけではないこと
特に3つ目は重要だ。
「確定耐え」という言葉に惑わされがちだが、急所率はどうせ存在するのだから、「急所を考えないものとした場合確定耐え」とかいう不安定なものが本質だ。よくある「ただし摩擦や空気抵抗は考えないものとする」並に怪しい理屈だという事を忘れてはいけない。
勿論、急所はメッセージとして「きゅうしょにあたった!」と表示されるので、火力補強系の持ち物の判定をする方法として確定耐え調整は有用である。なぜなら、例えば最高乱数以外耐え、などの調整の場合、もしもその技で倒された場合、それがこだわりハチマキなどの相手の道具によるものなのか、最高乱数によるものなのかが分からないからである。
だが、今回は2つ目の根拠から、ダメージを受けた瞬間相手の持ち物はスカーフだと分かっているものなので、その情報戦的なメリットもないものと考えられた。
調整総集編についてのまとめ
ベースとなる仮調整を決める→デメリットを列挙、解消をねらう→デメリット解消手段の取捨選択→メジャーポケ対面のダメ計→(あるならば)修正
の流れが基本である。
・さいごに
長文となりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
基礎的な内容で、ベテランの方からすると「知っとるわこんなもん!」ってなるかもしれませんが、基礎的な内容の根拠をはっきりさせるって大事なことだと思うので、再確認して何か「気づき」があったら幸いです。
※補足
また、度々「どちらの調整を優先するか天秤にかける」と書きましたが、"こちらを優先すべき"というのはシングル前提なので、ダブル用の型ならば優先すべき調整は変わってきます。ご了承ください。