ポックルの対戦記録

とある毒ポケモン使いの考察記録です

【確率】混乱運ゲーによるメリット論【期待値】

・はじめに

 

ボルトロスの いばる!

 

に代表される、混乱技によるプレイヤースキルの介在しないターンに怒りを覚える人は多数存在するわけだが、要は有利になるから皆使うわけである。

しかし、本当にメリットはあるのだろうかと疑っている人も多く見かける。

「混乱撒くなら別の事をしろよ」「もし自傷せず行動したらどうするんだ」と。

 

この記事では、混乱に介在する確率の計算の結果を紹介したい。

 

 

※数式に関しては興味のある人は是非読んで頂きたいが、苦手な人は結果だけ見てもらっても特に問題はない。

 

 

☆あやしいひかり

混乱技のうち、計算するのが1番楽なのがこの「あやしいひかり」という技である。単純に命中が100%だからだ。この記事では取り敢えず、この技についてのみ考察する。

 

※前提として、混乱のターン数は1〜4ターンであり、ターン数はどれも同確率で決定され(nターン混乱している確率は1/4  n=1,2,3,4)、混乱した状態では1/2の確率で自傷することを述べておく。

 

 

自傷する回数の期待値

期待値は、それぞれの自傷回数となる確率に、自傷回数をかけたものの和である。

言い換えると、n回自傷する確率をp_nとすると、期待値eは、

e=0×p_0+1×p_1+2×p_2+3×p_3+4×p_4

で表せる。

では、文字の部分であるp_0~p_4をそれぞれ求めてみよう。

 

 

p_1

=1/4×1/2+1/4×1/2×1/2×2C1+1/4×1/2×1/2×1/2×3C1+1/4×1/2×1/2×1/2×1/2×4C1
=1/8+1/8+3/32+1/16
=13/32

 

p_2

=1/4×1/2×1/2×2C2+1/4×1/2×1/2×1/2×3C2+1/4×1/2×1/2×1/2×1/2×4C2
=1/16+3/32+3/32
=1/4

 

p_3

=1/4×1/2×1/2×1/2×3C3+1/4×1/2×1/2×1/2×1/2×4C3
=1/32+1/16
=3/32

 

p_4

=1/4×1/2×1/2×1/2×1/2×4C4
=1/64

 

p_0

=1-(p_1+p_2+p_3+p_4)

=1-49/64

=15/64

 

 

よって、

 

e

=0×15/64+1×26/64+2×16/64+3×6/64+4×1/64
=(26+32+18+4)/64

=80/64

=5/4

 

つまり、"自傷する回数の期待値"は5/4である。

これが何を意味しているかというと、「一発あやしいひかりを打った時、自傷回数は平均して5/4=1.25回となる」

という事だ。あやしいひかりを打った1ターンの代わりに相手の行動不能ターンを平均1.25ターンに出来るので、あやしいひかりは打って得をする技である事が分かった。

 

 

しかしこの期待値というもの、なかなか厄介なのだ。

 

そもそも期待値とは、確率版の平均である。平均値といえば、何かの基準を考えるときに参考にする値(これらを総称して代表値というらしい。中1が数学で習う。)のうち、最もメジャーなものであるが、平均値には欠陥があるのだ。

 

例えば、20人がテストを返却されたときに、"1人だけ100点で、他の19人は0点だった"としよう。この時、この20人のテストの点数の平均値は5点であるが、この5点という値に意味があるだろうか。

少なくとも筆者はこの5点という平均値を算出する意義は感じられない。

このように、極端な値を取る場合、平均値を求めてもあまり意味はない。

 

 

つまり、何を言いたいのかというと、"自傷回数の平均値"である期待値だけで、あやしいひかりの有用性を語るにはまだ早いという事だ。

先ほどの例のように例えるなら、「"超低確率でいっぱい自傷するが、大抵は1度も自傷しない"なんて場合でも、同じ期待値を取る事がある」となる。

点数の平均値でいうところの「少人数の100点」は、期待値でいうところの「低確率の大当たり」に相当する。そんな混乱技があったとしても、そんなものを使っても弱いのは想像に易い。

  

では、別の角度からあやしいひかりの有用性を考えてみよう。

 

 

・そもそも得をする確率はどれくらいなのか

 

要は、自傷回数が1回以上である確率を考えれば良い。

先ほどの計算から、"少なくとも一度は自傷する確率"は49/64だと分かる。パーセント表記に直すと76.5625% ねむりごなの命中率程度の値だ。

つまり、「あやしいひかりを撃つとねむりごなが命中する程度の確率で得をし、ねむりごなが外れる程度の確率で1ターンを無駄にする」といえる。

 

この結果は期待値だけでは見えてこない大事な部分ではないだろうか。無論この76.5625%の中には2〜4回の自傷という大きなメリットの場合も含まれていることを考えれば、どのくらいのメリットを期待できるのか(この度合いこそがまさに先ほど求めた"期待"値なワケだが)を考えつつ、得をするか損をするかの境目も見えるだろう。

 

 

 

・さいごに

 

この手の議論をしているブログを見かけたが、期待値を求めて得ですね、で終わっていたので、それはマズいのではと思い立ち、まとめてみた。

このゲームをプレイする上で、確率についての正しい理解は重要なので、誤った認識をしないよう丁寧に考察しておきたい。

 

○要点と発展

期待値と、最低限得をする確率の2つの情報から、混乱による運ゲーの評価を正しく行いたい。今回はあやしいひかりのみで計算をしたが、例えば"いばる"なら期待値やそれぞれの確率すべてに命中率の9/10がかけられる。

 

さらに自傷ダメージやらを考え始めると、今度は"ダメージ量の期待値"なども考える必要が出てくる。ここでダメージ量の期待値が倍になるいばるの有用性が示されるのだろう。面倒なのでそこまで計算するつもりはないが。

 

実戦では交代での混乱解除などの分岐も天秤にかける必要があるので、計算結果通りにならない事も多い。あやしいひかりを搭載する時点で技枠を1つ使うので、技枠を割く価値があるかどうかはその型や環境などに依存するだろう。

ただ、混乱技を頭ごなしに否定したり、弱いと決めつける前に、正しく計算、検証をして混乱技と接するために必要な結果をここに記しておく事とする。少しでも読者の方の参考になれば嬉しい。

 

 

※追記

7世代の自傷確率の変更により、この議論の大半が無効となった。

いばる+イカサマなどのコンボでもない限り混乱技を撃つメリットは薄くなったといえるだろう。