ポックルの対戦記録

とある毒ポケモン使いの考察記録です

【雑記】トゲキッスと条件付き確率

高校生のポケ勢は絶対読んでくれ

 

 

今回はポケモン対戦と大学受験の両者で実戦的かもしれない確率のお話です。

 

(以下常態)

 

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トゲキッスと対面していて、「コイツは『てんのめぐみ』なのか『きょううん』なのか……どっちなんだ?」と悩んだ経験はないだろうか?

 

 

最初に対面した時はそこまで悩まない。

しかし、たとえば初撃でエアスラッシュを受け、急所に当たったらどう感じるだろう?

 

*「おっこのトゲキッスはきょううんに違いない」

*「いや偶然急所に当たっただけで、てんのめぐみかもしれないぞ」

 

と、「きょううん」っぽさが増したように感じるだろう。一方で、てんのめぐみの可能性も捨てきれない。

 

 

また一方で、初撃でエアスラッシュを受け、怯んだ場合。

この場合、「てんのめぐみ」である確率は増したように考えられる。

 

 

さて、この「増したように感じる」のは間違いなく増しているわけで、ではどのくらい確率が変動しているのかを考えたいと思う。

 

また、トゲキッスが各特性である確率は、対面した時点では変動しておらず、ポケモンホームで閲覧できる使用率が初期値と考えられる。

 

エアスラで急所に当たったor怯んだの2条件が与えられたとき、確率は変動してしまう。

 

この変動後の確率のことは、世間一般にと呼ばれている。

 

あっそこの高校生諸君、ブラウザバックしないでくれ。

 

 

※条件付き確率の定義(めんどくさかったら読み飛ばしてね)

 

事象Aが起こったときに,事象Bが起こる確率を,事象Aが起こったときの事象Bが起こる条件付き確率といい,f:id:panpikkle:20201012174108j:plainで表す。

 

また,等式f:id:panpikkle:20201012174326j:plainが成り立つ。

 

って数学Aの教科書に書いてあった。

ちなみにP(  )とは,カッコ内の確率を表す記号。

 

このままだとチンプンカンプンなので,具体例を挙げると,

 

いわなだれ」で怯む確率は30%であると知られているが,実際のところはいわなだれを当てた」という条件のもとで,怯ませる確率が30%というのが正確。

外す確率も考慮すると,30%×90%で27%で怯むという事実も踏まえると,

 

いわなだれを当てる」を事象A

「怯ませる」を事象Bとすると,

いわなだれを当て、かつ怯ませる」を事象A∩Bとおける。

このとき,

いわなだれを当てた」という条件のもとで,怯ませる確率f:id:panpikkle:20201012174108j:plain

 

等式f:id:panpikkle:20201012174326j:plain  

のそれぞれに,30%,90%,27%が対応するのがわかるだろうか。

 

ゲーム内での技説明に記載された「30%」とは、単なる確率ではなく、「当てたという前提条件のもとで考える、条件付き確率」を表した数値なのだ。

 

 

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さて,条件付き確率の計算により,トゲキッスの特性についての疑問を1個ずつ解消していこう。

 

 

★疑問1

トゲキッスに怯まされたとき,そのトゲキッスが特性「てんのめぐみ」である確率はどれくらいなのだろうか?

 

これを数学の問題っぽく書くとこうなる。

 

問1

ポケモンホームで公開されたデータによる,ランクマッチでのトゲキッスの特性「てんのめぐみ」採用率をpとする。(0≦p≦1)

トゲキッスに初撃のエアスラッシュで怯まされた。このとき,トゲキッスの特性が「てんのめぐみ」である条件付き確率を,pを用いて表せ。

 

下に解答があるため、自分で考えてみる方はここでスクロールを止めて解いてからスクロールしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事象A・・・初撃のエアスラッシュで怯む

事象B・・・特性がてんのめぐみである

 

f:id:panpikkle:20201012174326j:plainより,

初撃のエアスラッシュで怯む確率f:id:panpikkle:20201012180238j:plainと,

特性がてんのめぐみであり,かつ怯む確率f:id:panpikkle:20201012180318j:plain

を求める必要がある。

 

ここで,f:id:panpikkle:20201012180238j:plainを求めるためには,f:id:panpikkle:20201012180318j:plainと,特性がてんのめぐみではなく,かつ怯む確率を足せばよい。

※(怯む確率)=(てんのめぐみであり怯む確率)+(てんのめぐみでなく怯む確率)

 

 

f:id:panpikkle:20201012180238j:plainを求めるために,f:id:panpikkle:20201012180318j:plainを求める必要があるため,この手の計算ではf:id:panpikkle:20201012180318j:plainを求めるという行為が一石二鳥になっている。

 

f:id:panpikkle:20201012180745j:plain

 (当てる × 怯む × 使用率)

 

 

さらに,特性がてんのめぐみではなく,かつ怯む確率を計算すると,

f:id:panpikkle:20201012181008j:plain

(当てる ×  怯む × てんめぐじゃない)

 

この和がf:id:panpikkle:20201012180238j:plainであるから,

f:id:panpikkle:20201012181252j:plainで括りつつ計算すると,

 

f:id:panpikkle:20201012181557j:plain

    f:id:panpikkle:20201012181618j:plain

となる。

 

よって,

f:id:panpikkle:20201012182102j:plain

    f:id:panpikkle:20201012182122j:plain

 

となる。 🈡

 

 

疑問1の結論と実例

つまり,例えばトゲキッスのてんのめぐみの採用率が70%だとしたら,p=0.7を代入すればよい。

2×0.7÷(0.7+1)=1.4÷1.7≒0.82…

ということで,一度怯んで「トゲキッスのてんのめぐみっぽさ」が増した時,ほんとうにトゲキッスの特性が「てんのめぐみ」である確率は82%程度だと知ることができる。

 

実際に存在するてんのめぐみトゲキッスが7割なのに対し,怯みを観測した瞬間82%になるというのは,直感では理解できない値だろう。この計算の価値はここにある。

最初に書いていた「怯んだという事実が確率を変動させる」ということを表せている。

 

この式は容易に覚えられる程度のシンプルな姿をしているため,覚えていると面白いかもしれない。

 

★疑問2

トゲキッスに怯まされたとき,次のエアスラッシュでも怯む確率はどれくらいなのだろうか?

 

 

f:id:panpikkle:20201012182714j:plainの確率で「てんのめぐみ」だと分かっているため,次のエアスラッシュで怯む確率は,

⓵「てんのめぐみであり,怯む」確率

と,

⓶「てんのめぐみでなく,怯む」確率

 

の和を,f:id:panpikkle:20201012182714j:plainを用いつつ求めればよい。

 

f:id:panpikkle:20201012183130j:plain

 

f:id:panpikkle:20201012183139j:plain

この合計を,やはりf:id:panpikkle:20201012181252j:plainで括りながら計算していく。

 

すると,

f:id:panpikkle:20201012183413j:plain

が得られた。

 

今度はイマイチ分かりづらいが,最初の2つの掛け算f:id:panpikkle:20201012181252j:plainが,「非てんめぐ想定での怯み率」であることも踏まえると,

 f:id:panpikkle:20201012183607j:plain

が,「どれくらい怯む確率が上がっているか」の指標となる値とわかる。

 

 

疑問2の結論と実例

 

例えば,てんのめぐみ採用率p=0.7として代入すると,

(3×0.7+1)/(0.7+1)=3.1/1.7≒1.82となり,てんのめぐみではないと分かっているときに比べて,約1.82倍怯みやすいといえる。

 

 

★疑問3

トゲキッスの初撃エアスラッシュで急所に当たったとき,トゲキッスの特性がきょううんである確率はどれくらいだろう?

 

★疑問4

トゲキッスの初撃エアスラッシュで急所に当たりかつ怯んだとき,トゲキッスの特性がきょううんやてんのめぐみである確率はそれぞれどのくらいだろう?

 

この2つの疑問については,とする。

立式方法は同じだから,みながらやったら勿論簡単だよね???

 

 

あとがき

確定した情報から原因を探るという,条件付き確率の問題としては非常に「大学入試的」なものだったと感じた。

とくに,疑問1の結論の式はf:id:panpikkle:20201012182714j:plainとなり,非常に単純明快な形で完結したのは美しい。対戦中実際に代入して戦況が有利になったりすることは稀だと思うが,まあ知ってて損はないのかな、と思う。

ただ,対戦中に同じ局面に遭遇して「これっててんのめぐみの可能性はどれくらいなのかな?」と疑問に感じたことのあるプレイヤーは少なくはないのではないか?と思ったので,まとめてみた。

 

 

少しでも面白いな,と感じてくれた読者の方は,疑問3,4について計算してみてはいかがだろうか?

とくに,現役高校生は練習も踏まえて計算してほしい。答案はDMを送ってくれれば確認します。