お久しぶりの単体考察です。
冠環境で新たに加入した毒ポケモン、ヤドキング。その特殊耐久は特化すれば202-178もあり、サンダーのダイジェットをもヘドロ込みで確定3発に抑え込むほど。
弱点タイプが物理寄りなため、等倍特殊技相手にガンガン投げてサイクルを回すことができる、優秀な特殊受けポケモンです。
また、瞑想となまけるを習得することから、相手の特殊を詰め、起点にして倒すこともできる、一粒で二度美味しい性能です。
そんなヤドキングの特殊受け性能、詰め(起点)性能の双方を高めた型を紹介していきます。
○ヤドキング@黒いヘドロ
努力値:HDぶっぱ
技:瞑想 なまける 熱湯 アシストパワーorサイキネorサイコショック
耐久ライン
○サンダーのひかえめダイジェット140を、ヘドロ込みで確定3発
つまり、後出しからダイマを枯らすことが可能
○ヒードランの達人の帯大地の力を、91%弱で2耐え
つまり、ダイマが無ければ不一致弱点は帯ヒードラン程度までは後出しから受かる
対面なら瞑想込みで余裕で受かる
☆このヤドキングは、数少ない「受け」と「詰め」双方の要件を両立した数値・耐性・技をもつポケモンとなる。
○「受け」と「詰め」とは?
「受け」と「詰め」を明確に(私個人の定義、世間一般の表現ではない)定義しておこう。
☆たとえばラッキーはその圧倒的な数値から多くの特殊ポケを受け切ることができるが、相手の特殊ポケに再生回復があった場合、双方打点なしとなり突破できない状況が発生する。
こういった、
"後出しから回復が追いつき、相手に突破されない枠"
のことを「受け」と定義する。
☆一方、瞑想やビルドアップのような、また鉄壁ボディプレスのような「火力と耐久の両立」を(ターンなどを踏まえて)達成するなどして、
"相手の攻撃で突破されることがまず無い状況にしつつ、相手を突破する手段を作成できる枠"
のことを「詰め」と定義する。
とくに、「受け」と「詰め」は排反ではない。
受けと詰め、両方の性質を持つポケモンは、数こそ少ないが存在する。
だが、その大半は「どちらか一方」の性質を持った型となる。
例えるなら、
受けであるが詰めでないテンプレラッキー
(ラッキーを詰めにしようとすると瞑想2ウェポンになる)
詰めであるが受けでないアッキピクシー
(ピクシーを受けとして使おうとすると数値が足りない)
「受け」であることには「後出しから十分に持ち直せる」ことが必要条件であるが、「詰め」の定義を満たすためにそれは必ずしも必要でない。
「受け」のラッキー、「詰め」のピクシーに例えて考えると、そもそもの戦略が異なってくる。
「受け」を多く採用した構築の例として、受けループが挙げられる。
受けループの勝利ルートは大きく分けて2つ、「TOD」と「定数ダメージ蓄積」である。
ラッキーは、交換先に地球投げで負担をかけられればそれで役割として十分。地球投げを食らいつつ出てきた物理ポケをドヒドイデなどでさらに受け潰す。サイクルの過程で相手だけ疲弊していき、最終的に勝てる。
一方「詰め」は受けループにはあまり入らない。むしろ、初手ダイマックス構築など、対面寄りの構築に採用されがちな印象である。
実際、瞑想アッキピクシーを採用した受けループは少ない。そもそも展開を始めたらサイクルを回せないのだから、対面系に入りやすいのは当然だろう。
○「受け」の突破手段は、
「何度も殴ってサイクルの過程でどうにか倒す」
○「詰め」の突破手段は、
「積んだらなんでも突破できるくらい火力も取れる」
と、相手を突破する方法について、また味方の選び方について大きく異なるのだ。
しかしながら、受けと詰めを両立できる型は当然強力である。
受ける数値もあり、交換先に安定した負担をかけられる攻撃技を持ち、火力を上げて全てを突破できるような積み手段を持ち、相手の度重なる攻撃に対して受け続けられる回復手段を持つような欲張りな型…………
そんな厳しい条件を達成できるのが今回紹介したヤドキングだと思う。
まず、先述したとおり、大抵の特殊技を受け止める数値をもつ。特性の再生力も相まって、「受け」としてのスペックは十分だろう。(受けループ勢はコレでも不足としてチョッキを着せたりもするが)
また、交換先に選ばれやすいのが「地面タイプ」「物理ポケ」であるから、必然的に「地面に対して抜群」かつ「交換先の物理に負担をかける技」である「ねっとう」が有力である。これが「交換先に負担をかけられる技」となる。威力はさておき、効果とタイプが完全に噛み合っている。
また、「詰め」としては、「瞑想+なまける」という理想の技を持つ。ここまでで技を3枠使ったが、残り1枠はエスパー技にしてやりたい。
一致技が欲しい、というのは、とくにダイマックスをヤドキングに切った際に顕著に現れるポイントであり、毒技より通りが良い。(水+毒の等倍範囲もなかなかであるから、構築次第ではヘドロ爆弾にしてもよいとは思う)
また、「アシストパワー」はいかなる数値をも無力化する威力を叩き出すため、相手がとんでもない受けポケモンでも吹き飛ばせる。
アシストパワーを警戒して出てくる悪タイプには熱湯で焼いて差し上げよう。
○総括
覚える技と数値が奇跡的に噛み合って、この構成を可能にしているのがヤドキングだが、それにしては使用率が少ないように思えます。
私は毒統一で採用しているが故に、このヤドキングの可能性を100%探究し切れていない気もするため、このヤドキングをベースにして、いい構築を組む人が現れると幸いです。